大学の授業では、高校時代とは異なりレポートや論文の提出が求められる。そのため、さまざまなレポート・論文についての入門書が出版されているが、それら入門書のワンランク上のマニュアルとして出版されたのが本書だ。主に文系の大学生と大学院生を読者対象としているが、海外の大学や大学院へ進学する学生にも役立つ内容構成になっている。 本書は、「論文執筆の基礎」と「論文の体裁」の2部構成になっており、論文の性格、執筆の手順、資料の収集、文献引用の仕方、注の位置、最低限必要な専門語、論文の構成、見出し番号、略語、引用文献の標記方式などを、豊富な記載例を交えながら分かりやすく解説している。とくに、文献の引用方法についての詳細なルール、体裁を紹介しているのが、大きな特色といえる。 そもそも著者が本書を執筆したのは、執筆の約束事を無視した論文を提出してくる学生が多かったことのほかに、文献引用の仕方の訓練をしてもらいたいとの思いがあったからだという。「指導教授が必ずしも論文のスタイルや引用のルールを知っているとは限らない。学生がルールを知らないのは、教師が教えないからである」と指摘する。教授等から論文の書き方などについての指導が受けられそうもないなと感じたら、本書を参考に習得しておいたほうがいいだろう。巻末には、日本語と英語の論文の詳細な体裁例やユネスコ雑誌名略語リストなどが掲載されており、即実践に役立つ。(清水英孝)
豊富な文献引用の実例
この本では、論文の性質、準備、構成、分析方法、資料の収集法、文献引用法、注のつけ方など主に論文の形式的な方法について説明している。特に文献の引用方法について豊富な実例が載っていてたいへんわかりやすい。私が見た限りでは、ここまで詳しい解説は日本語の類書では見たことがない。今まで外国語文献については英語論文の手引きを参考に引用してきたが、日本語文献ではどうするのか迷っていた。この引用の仕方は絶対的な基準というわけではなく雑誌の投稿規定などによってもかわるが、一つの基準が明快に示されたことは画期的だろう。 批評の仕方や論文の目的、構成などの論文の書き方については同じ出版社から入門編が出されているので、それを参考にするとよいだろう。
慶應義塾大学出版会
レポート・論文の書き方入門 大学生のためのレポート・論文術 (講談社現代新書) レポートの組み立て方 (ちくま学芸文庫)
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